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concept design 05 yuko nagayama
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永山祐子 yuko nagayama urban rooftop 
bathroom

実験的かつ革新的なバス空間を提案 建築家たちによるコンセプトデザインプロジェクト | 05

自然とゆるやかに結びつく
都会のなかの
リゾートのようなバスルーム
今回私たちが目指したのは、都会の風景に浮かぶ空中庭園のようなバスルームです。曲線を描く左官仕上げの壁と天井が包み込むような空間で、外部にはルーフバルコニーが隣接しています。木のスノコをあしらった壁と小上がりを室内から外部まで連続させ、開口はサッシを引き込み、フルオープンにできるようにしました。バルコニーから直接お風呂にアクセスすることも可能です。

バスタブが据え置き型になると、どうしてもエプロン(側面を覆うカバー)が必要になります。それを隠すように小上がりをデザインし、小上がりの段差を生かして土を入れ、植物の植え込みスペースにしました。緑を間近に眺めながらバスタイムを楽しめ、植物にはシャワーで簡単に水もあげられます。小上がりはベンチのように腰掛けたり、ものを置いたりと幅広く活躍してくれます。バルコニー側にも植物をふんだんに植え、引き戸を開ければ、まるで露天風呂のようで、都会の中に浮かぶリゾート空間のようです。

バスルームは毎日使う場所だからこそ、掃除のしやすさも考えておく必要があります。このバスルームならスノコなので水はけがよく、引き戸を開ければ風も入るので換気も簡単です。 concept by yuko nagayama

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interview

バスルームをアクティビティの延長上に
永山祐子建築設計事務所 / 永山祐子

今年完成したばかりの「東急歌舞伎町タワー」の外装デザインを担当するなど、
手掛ける建築が常に注目を集めている建築家の永山祐子氏。
建築はもちろん、店舗のインテリア、照明や水栓などのプロダクトまで、国内外を問わず幅広く活躍。
多忙な合間にも母として2人の子供たちとのバスタイムを大切にする、彼女が考える理想のバスルームとは?

text by emi uemoto
photograph by yosuke owashi

少し広めにつくると可能性が広がる

――永山さんは普段どのようにバスタイムを過ごしていますか?

私も子供もお風呂が大好きで、一緒に入って一日の出来事を聞いたり、家族にとってバスタイムはとても大事な時間です。自邸のバスルームは少し広めに設計しており、2人の子供と一緒に入れるぐらいの大きさで、今回のバスルームのように小上がりをデザインしています。子供は熱い湯船に長く浸かれないので、小上がりに腰をかけて涼みながら話をしています。一人でゆったり入りたいときにはバスソルトを入れたりして楽しんでいるのですが、小上がりは何かものを置くのにも便利です。本を読んだり音楽を聴きながら入る人もいるでしょうし、少し広めにつくっておくと、いろんな使い方ができると思います。

――過去に訪れたことのあるバスルームで思い出に残っているものはありますか?

中国の北京で泊まったリノベーションホテルの半屋外のようなバスルームが記憶に残っていて、今回もそれがインスピレーションになったような気がします。昔ながらのレンガ造の建物で、レストランやアパレルショップも入っている複合施設なのですが、ホテルには竹の美しい庭が設えられていて、とても素敵な場所でした。客室は半屋外空間に独立型のバスタブがぽんと置かれていて、風景としてもとてもきれいだったと記憶しています。北京の都会のなかにありながら、とても気持ちのいいバスルームでした。

外部空間とつながる心地よさ

――最近手がけたバスルームのあるプロジェクトで印象に残っているものを教えてください。

プロジェクトによって条件は異なりますが、そのバスルームに入ったときにしか見ることのできない景色をつくりたいといつも思っています。普段は緑とのつながりをもたせたバスルームを提案することが多いですね。
たとえば「展示壁のいえ」は戸建て住宅で、ぐるりとハイサイドライトに囲まれています。バスルームも上部が抜けていて、トップライトから空を見ながらお風呂に入ることができます。自然光が入ることは心地よいバスルームの条件の一つだと思います。 「膜屋根のいえ」は戸建て住宅ですが、小さな窓を設け、足元の緑が見えるようにしました。周囲の環境によって大きな開口がつくれない場合でも、上部の抜けを活かしたり、小さな窓から緑を取り込むなど、工夫次第で外部とのつながりをつくることができます。少しでも外部とのつながりがあるだけで心地よさはずいぶんと変わってきます。

設備は最初に投資した方がいい

――施主からはどのようなリクエストが多いですか?

バスルームはリラックス空間ですから、外の景色を眺めたい、照明でシックな雰囲気を演出したいなど、みなさんそれぞれこだわりがあります。最近はバスタイムを大事にしている施主も多く、ハイエンドなホテルで体験したバスルームを気に入り、ホテルライクなものを求める方が増えています。ビューを生かしたホテルのバスルームのように、住宅でも眺望の良い場所にバスルームを配置することもあります。

逆にあまりバスルームを重視していなかった施主が、新しい家に住み始めてからバスタイムを楽しむようになったという話をよく聞きますね。さきほどの空が見えるバスルームの施主もその一人で、気持ちがいいので明るいうちにお風呂に入るようになったとおっしゃっていました。

もちろん予算もありますが、施主には「設備は最初に投資しておいた方がいい」とよく話しています。どうしても、最初はリビングやキッチンなどメインの空間にお金をかけがちです。しかし、バスルームは毎日使う場所であるため、後で不具合が出る可能性が高く、不具合が出ると改修しなくてはいけません。そうならないためにも、最初にきちんと設備投資しておいた方がいいというのが私の持論です。

――今回のバスルームでは掃除のことも考慮されていましたね。

私も含め女性にとって掃除のことは特に気になる点だと思います。バスルームは毎日使う場所ですから汚れてしまうのは仕方ないのですが、なるべく掃除が簡単な方がうれしいのは、みなさんも同じだと思います。掃除の手間がかかるとストレスになってしまいますし。
床にものを置くと、そこからアカやヌメリが発生してしまうので、自邸のバスルームではバスケットを壁に掛けてシャンプーなどを置き、なるべくものを床に置かないようにしています。浮かせておくと掃除もしやすいんです。

デザインと防水性は両立できる

――従来のシステムバスや在来工法に対して、どのような点が改善されるといいと考えますか?

普段は自由にデザインできる在来工法でつくることが多いのですが、自邸のようにマンションリノベーションのときは階下に迷惑をかけないように、防水性を十分に配慮しなければいけません。もちろん万全を期してはいるのですが、防水性に関しては防水パンに覆われているシステムバスには劣ってしまいます。
また、水まわりはカビの問題もついてまわり、ある程度の年数が経てば改修の必要性も出てきます。システムバスはエプロンを外して掃除やメンテナンスができるのも利点です。
最近ですと壁材を選べるハーフユニットや、開口も設けられるシステムバスが登場したりと自由度が高くなっているものの、在来工法に比べるとデザインの自由度が低く、選択肢が狭いのは否めません。これまで防水性とデザインの自由度は反比例の関係でした。
その点aq.なら、どちらも諦める必要がありません。

――今後バスルームはどのような位置付けになると思いますか?

アクティビティの延長上にお風呂があると、暮らしの楽しみ方が広がっていくと感じています。我が家は子供たちがバルコニーにプールを出して遊んだあと、すぐ温かいお風呂に入るのですが、直接バスルームにアクセスできると、濡れた身体を拭く必要もなく、さっと入れます。子供たちは外と中を行ったり来たりしながら楽しんでいます。
大人ならヨガやワークアウトのあとすぐに汗を流したり、あるいはバスタイムの合間に外気浴をしたり……。外部とバスルームがつながることでいろんな使い方ができますし、バスルームを起点としながら暮らしが広がっていくのではないでしょうか。

――aq.を意識してデザインしたバス空間の説明をお願いします。

私の家はマンションの8階にあるのですが、お風呂には窓がなく、aq.で眺望を生かした理想のバスルームをイメージしました。今回は内外のつながりをつくりたくて、aq.は開口の自由度が高いと聞いたので、フルオープンにできるサッシを採用しました。

スノコをあしらった小上がりと壁面が外部まで続いていますが、これも素材を自由に選べるからこそできること。木は水に強くウッドデッキにも用いられるセランガンバツなどをイメージしています。小上がりは洗面室まで連続させて収納スペースにしました。

異素材を組み合わせてのバス空間もいいなと思い、一方の壁面と天井はモルタルのような質感の左官材で仕上げています。日がよく入る南向きを想定しているので、左官材は明るくなりすぎないようグレーでトーンを抑えて、バランスをとっています。
包まれたような心地よさを出したかったので、壁から天井まで曲面でつなげたデザインにしました。aq.のバスアーキテクトの方にいろいろ相談しながら進めたのですが、防水パンを特注でつくるのでどんな形状にも対応でき、さらに曲面まで可能だとは驚きでした。できないことはないんじゃないのかと思うくらいで、新しいチャレンジも相談したくなりますよね。

スノコと左官という異素材をつないでくれる存在が、エプロンの段差を利用して植え込んだ植物たちです。植物は内と外をつなぐ役割も果たしてくれ、まるでリゾート地のバスルームのような雰囲気を演出してくれます。システムバスの防水性を担保しつつ、マンション上層階にこれだけ豊かな空間がつくれるのはaq.ならではですよね。

シャワーや水栓などのアクセサリーも幅広く選べますし、今回は木に合うと真鍮仕上げのものを選びました。案外アクセサリーを探したりするのは手間がかかることなので、相談にのってくれたり提案してもらえるバスアーキテクトがいるのは心強いですね。

――最後に、aq.に期待することやご要望があればお願いします。

防水性を担保しながらこれだけ自由にできるのなら、何でもできそうなので、もう十分のような気がしますね(笑)。今回のプランでは開口を組み合わせましたが、同じメーカーであるLIXILのサッシと組み合わたり、今後はさらにいろんな可能性が広がっていくと思います。

profile

永山祐子  yuko nagayama
永山祐子建築設計 主宰 / 建築家

1975年東京都生まれ。1997年昭和女子大学生活美学科卒業。青木淳建築計画事務所を経て、2002年永山祐子建築設計設立。2020年より武蔵野美術大学客員教授。主な仕事に「ルイ・ヴィトン大丸京都店」「丘のある家」「東急歌舞伎町タワー」など。現在、東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYOTORCH」が進行中。「JINS PARK 前橋」でiF DesignAward 2023 ÄWinner、World Architecture Festival 2022 Highly Commendedなど。その他受賞多数。
www.yukonagayama.co.jp

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